麻生かすみと藤真翔太はもう少しで付き合って9年記念日を迎えようとしている。
付き合って5年が経った頃から、かすみの仕事の都合でアメリカと日本の遠距離恋愛をしているが、
お互いの仕事に理解があり、たまに小さな喧嘩をしてもすぐに笑い合える2人。
かすみには夢があった。
「大好きな人と幸せな家庭を築きたい。」
いつまでも翔太と笑い合っていたい。
いつか増えるかもしれない家族に、小さな幸せを想像する。
日本に戻ったら翔太との幸せな日々が待っていると信じていた。
翔太が待っていてくれていると思うとどんな仕事も頑張れたが、最近は体調が少し芳しくなかった。
近くにいた頃、体調が悪いときは支え合っていたが
遠距離のいまは心配をかけたくないため翔太に伝えられずにいた。
9年目の記念日、今年も一緒に過ごせないと思っていた翔太のもとにかすみがサプライズ帰国する。
喜びを隠しきれない翔太は浮き足立ちながら記念日を迎えた。
しかし、そこにかすみの姿はなく一通の手紙だけが残されていた。
〝ごめんなさい〟